2025/09/26

【災害対策特別委員会】全日本仏教徒会議・大阪大会への出展

【開催日】2025年9月5日(金)~6日(土)

【場 所】大阪市 ホテル日航大阪

【主 催】大阪府佛教会 【共催】公益財団法人全日本仏教会

 

「宗教法人との災害協定」をひろげるために——全日本仏教会議大阪大会に参加して
「宗教法人との災害協定」を社会に伝え、連携の輪を広げる——その目的を胸に『第47回全日本仏教会議大阪大会』で石産協のパネル展示をしました。

会場に一歩入ると、「無量の命、すべての命を慈しむ」というテーマが静かに、しかし力強く空気を満たしていました。戦後80年の節目、そして大阪・関西万博の年。宗教が果たすべき役割を、まさに現場で問い直す二日間でした。

■会場で響いたメッセージ
– 「平和への誓いを新たに。寛容と慈愛こそ争いを断つ鍵」——全日本仏教会の伊藤唯真猊下
– 「我逢人(がほうじん)われひとにあうなり。我々が仏様の教えを守っていく立場である」——大阪府仏教会の村山大会会長
どの言葉にも共通していたのは、“いのちの尊厳を守る”という確かな軸でした。災害協定は、その軸を地域で具体化するための道具にほかなりません。

■記憶を未来へつなぐ仕事
WFB(世界仏教徒連盟)パロップ・タイアリー会長のお力添えもあり、増上寺が所蔵する三大蔵経のユネスコ「世界の記憶」登録されました。800年以上守られてきた文化の重みを改めて実感しました。この事実は、災害に向き合う私たちの覚悟を深めます。石造文化財や墓所の保全、追悼空間の再建は、単なる修理ではありません。地域の記憶を未来へ橋渡しする営みです。

■諸宗教対話が示した“平時の協働”という答え
1日目のパネルディスカッションでは仏教・キリスト教・イスラム教・神道の代表者が、分断や災害、テクノロジー時代の課題を語り合いました。若者の孤立への寄り添い、異宗教の共同プロジェクト、AIやSNSを通じた正しい情報発信——どれも「日常の協働」を前提にしています。
2日目のパネルディスカッションでは、仏教の教えと現代社会の課題を関連付けながら、生命の尊厳、平和、そして共生のあり方について議論しました。「フェアネス(公平性、公正性)」、「シェア(分かち合い)」、「ケア(配慮)」という3つの原則が2500年前から提唱されており、これらは危機的な状況に強い社会を築く上で重要であると述べられました。

■寺社は、地域の“防災インフラ”である
災害時、寺社は避難や物資の一時集積、心のケア、追悼や供養の拠点になります。私たち石材業界は、墓所や記念碑の安全対策、被災供養の場づくり、文化財石造物の保全・修復でその機能を現実に支えることができます。だからこそ、平時からの協定と訓練が欠かせません。

■おわりに——協定は“約束”であり“準備”です
大会の余韻が冷めない今、私たちは改めて思います。災害協定は、紙の上の取り決めではなく、“いのちを守るために、共に動く”という約束であり準備です。寺社の力と、石材の技術。地域の記憶と、未来の安心。これらを結び直す具体的な連携を、これからも一歩ずつ前に進めていきます。

 

[災害対策特別委員会 山田昌史]