2025/02/20

お墓ディレクター1級資格取得者(限定)研修会報告

開催日:2025年2月6日(木)~7日(金)
開催地:神奈川県小田原市 小田原城と江之浦測候所見学

参加者:29名

目 的:時代を超えて残るだけではなく、時の風化を経ることにより味が出る「石」という素材を見事に活かした空間を肌で感じる。そしてお墓や神社仏閣、建築など「石」という素材を使うことの良さや価値について、自分の言葉で生き生きと語れるお墓ディレクターを増やす。
内 容:

2月6日(木)

①小田原城見学ツアー

②江之浦測候所造成にまつわるエピソード 工藤誠一氏✕山口隆徳氏 トークセッション
2月7日(金)

③江之浦測候所”実感”ツアー 磯﨑洋才氏・工藤誠一氏 ナビゲート

 

戦国時代の関東の覇者であった北条氏が築いていた小田原城を、ガイド付きで見学し、小田原という地の歴史や風土を感じてもらった上で、本研修事業の主題である「石材人・石職人としての感性を磨く」座学研修、翌日の江之浦測候所の見学へと移ります。

 

江ノ村測候所は、杉本博司氏という現代の日本を代表する数寄者が、日本各地の古材の石材を集め、小田原の海沿いの傾斜地という景観を生かして造成されました。

前日の座学研修では、ただのミカン畑だった造成前の段階から関わり、今もなお「終わりなき造成」に石職人として携わる、誠一氏と山口隆徳氏をお招きし、江之浦測候所造成エピソードを伺いました。

 

工藤氏からは、現場に携わった人だからこその舞台裏施工秘話は、無茶とも思える状況下で「できない」とは言わず、なんとかする方法を考える、石職人としての気概を感じ、石材人・石職人としての感性が高められる時間となりました。

また、共に江之浦測候所の造成に携わっている山口氏には、工藤氏の話の良き引き出し役となっていただき、職人としての技術・気概の継承という点からもお話いただきました。

 

翌日は、いよいよ江之浦測候所の見学です。工藤氏に加え、江之浦測候所の設計に携わった磯﨑洋才氏にも現地ガイドをしていただきました。

 

杉本博司氏が「人の最も古い記憶を現代人の脳裏に蘇らせる為に、江之浦測候所は構想された。」というように、その空間に入ると眠っていた感性が働かされる感覚を覚えます。また、「普請道楽の行きつくところは、石である」という言葉の通り、時代を超えて残ってきた古い石材がふんだんに使われています。我々石材人にはたまらない空間であり、石材という自然素材の存在感をじっくりと夢中になって味わいました。気が付けば時がゆったりと流れていることを感じ、「心が洗われる」という感覚に至りました。

 

杉本氏の、3000年前から3000年後を見越したスケールの大きさや、測候所内の細部のこだわりに触れることができ、その構想を形にするために尽力し、設計・施工されてきた方々を講師に迎え現場の生の声を聴くという、ほんとうにかけがえのない貴重な時間となりました。

冷たい風と暖かい日差しを浴び感性を呼び起こされる上質な空間に浸り、そして“青い空と青い海は、綺麗だな”と気づいたのです。
恐らく、3000年前の人も、3000年後の人も、青い空と青い海を見て、綺麗だなと同じように感じるのでしょう。
感性を磨く上で、自然やアートに触れ、色々な人と交流することは大事だなということを実感することができました。